つ る 2


 一方、『あっち』を任された小松田は、相変わらず頑丈な蔓を引きちぎろうと四苦八苦していた。
 そうしている間にも、蔓は絡まりながら伊作の身体を這いまわる。暴れたせいもあってか、制服の袷はすっかりはだけ、帯もどこかへ引っ掛けて解けてしまっている。その隙間から、半助を戒めていたものよりやや細めの蔓が何本も入り込み、伊作の肌の上をずるずると滑っていく。
「こまつだ……さんっ、それじゃ切れない……っ。ぼくの小刀使ってくださいっ」
 焦れて言うのに、あ、うん、と頷いた小松田がその懐に手を入れようとしたとき。
「っひゃあんッ……!」
 ビクン、とおおきく震えた伊作が妙に甘ったるい悲鳴を上げた。びっくりして手が止まる小松田に、真っ赤になった伊作が泣きそうな声で訴える。
「やだ……ッ、袴の中に入ってきたぁっ」
「えええっ?」
 見れば、確かに隙間から数本、袴の中へと潜り込んでいるものがある。ゆったりとした袴の内側を、それらは傍若無人に這いまわった。
 下帯越しに性器を刺激していたそれらのうちの一本が、やがて下帯までも掻い潜って伊作のもっとも奥まったところを見つけ出してしまった。より狭いところを好むらしいその蔓は、見つけたちいさな入り口に先端を潜らせた。
「……ひ……ッあ、いたぁ……っ!」
 あまりの痛みにぼろぼろと涙を零せば、その液体を吸い取ろうというように数本が伊作の頬をすべり、雫を受け止める。小松田さん、と助けを求める声は震え、嗚咽混じりだ。
 どんどん奥深くへと進入してくる熱を持たない塊に恐怖を覚え、伊作は痛みも相俟って子供のように泣きじゃくり始める。
 ようやく異変に気づいた小松田は、慌てて袴の中に入り込んでいる蔓を掴み、まとめて力任せに引き抜いてしまった。かえって伊作にダメージを与えることになるなどとは思いもせずに。
 しかし、短い悲鳴を上げてぐったりとなった伊作と、蔓に付着した血を見た小松田の行動は、常からは想像もつかないほど素早かった。
 伊作の懐にあった小刀を抜いて蔓を断ち切り、戒めから解かれくたりと凭れかかってきた伊作を抱えて木を離れ、草の上に横たえさせる。
 半ば意識を失いかけていた伊作が気づいたときには、袴と帯を剥ぎ取られ、うつ伏せになった状態で腰を高く上げさせられていた。
「やっ……こ小松田さ……ッ?」
 己の取らされた体勢に焦り身を起こそうとする前に、小松田は開かせた双丘の狭間にためらいなく顔を埋めた。朱の滲んでいるそこに、舌を這わせていく。
 とんでもないところを舐められて伊作は羞恥を覚え、どうにか彼の舌から逃れようとするが、どういうわけか押さえ込まれた身体はびくともしない。
 嫌です、やめて、と悲痛な声を上げるけれど、小松田は「だって血が出てる」と答え、消毒しなくちゃ、とまたしつこくそこを舐めた。
「傷薬ならぼく持ってますからッ……!」
 手当てなら自分で出来ると訴えようとしたのを、あっさりと流され、取り出した軟膏入りの包みを奪われる。舌が離れたことにホッとした途端、代わりにぬるりとした細いものがそこを撫で上げた。軟膏をつけた指だと気づくのに時間は要らなかった。
 ぬる、ぬる、と何度も薬を塗りつける指がやがて、内側にまで入り込んでくる。出たり入ったり、を繰り返されるうち、異物感と圧迫感のほかに、違う感覚が生まれる。
「……ん、う……ぁ、あっ、こまつ…だ、さ……っ」
 じわじわと全身に広がり始める熱。自覚のない愛撫に、蕩けはじめるそこ。伊作は喘いだが、小松田はまったく気づかずに『治療』を続けている。
 ぬぷん、と奥まで突かれて、もうだめだと思った。熱い、もどかしい。揺れそうになる腰をしっかりと押さえつけられ、その思いが強まる。
「………れてっ」
 とうとう我慢できなくなった伊作は、羞恥も矜持も投げ出して強請った。
「へ?」
「小松田さんのっ……入れてっ」
「? ぼくの何? 入れるってどこへ?」
 きょとん、とした小松田が首を傾げながら訊ねてくる。
 焦らしてやろうとか辱めてやろうなどと考えているわけではもちろんなく、本気で判っていないのだ。
 辛くて苦しくて、伊作は喘いだ。指が抜かれ、押さえつけていた力が緩んだのを知ると、力の入らない身体を起こしてのろのろと向きを変える。そして小松田の袴の帯を震える指で解いてずらし、下帯の上からそこに唇を押し当てた。
「え、い、伊作くんっ?」
 ようやくうろたえた声を上げた小松田のそこは、主も知らぬ間に擡げ始めていて、伊作への『治療』に少なからず興奮を覚えていたことを教えた。
 下帯をずらし、現われたものに、伊作はうっとりと舌を這わせた。正直なそれがぐん、と体積を増す。
「う……わ、伊作くんっ、ちょっ……」
「コレ、を……ぼくのなかに、……ココに入れてください……」
 濡れてしっかりと勃ち上がったものから唇を離し、伊作は自ら脚を広げて指でそこを露わにした。
 さすがにその意味を悟った小松田がギョッとする。
「そ、そんなこと出来ないよ。キミ怪我してるし、すごく痛そうだし、それに」
「小松田さんがしてくれないなら、さっきの蔓で自分でしますっ」
 伊作は半泣きで小松田を睨んだ。はしたないとかそんなことより、とにかく苦しいのだ。このままにされたら、どうにかなってしまう。
 本当は、こんなふうに身体を繋げたくはないけれど、でも相手は小松田だから。彼になら、すべてを明け渡してしまっても後悔はしない。
 だって彼のことが好きだから、好きなひとになら何をされたって構わないのだ。
 伊作の真剣な表情を見て、小松田はふぅっと溜め息をついた。
「もぉ……困ったコだなぁキミは」
 ふにゃりと情けなく笑う。
 小松田だって、伊作のことが大切だ。その相手にそこまで言われて、どうして拒めるだろう。
「伊作くん、好き、だからね」
「こまつ……、っあぁ……っ!」
 そっと抱きしめられ、綻びかけていた蕾に熱が宛がわれる。囁きに応えようとした声は、ぐっと押し入られて悲鳴に変わった。
 あとはもう、互いに夢中で。
 理性をぶっ飛ばしてしまった伊作は押さえることも忘れて声を上げ続け、余裕のない小松田もそれを止めるどころかさらに追い上げていって。

 それは、少し離れたところで睦みあっていた利吉と半助が思わず動きを止めてしまうほど、激しい交わりだった……。

 

つづく。

 

 



コレこそ裏!!て感じのコマ伊…。
てゆーか、軟膏とかって!(苦)
もう一回続きます。利土井派の方、そちらで。
イチャエロとかはなく、ただのまとめなんですが。
常々言ってるんですが、小松田くんは天然鬼畜。
無自覚に相手を辱めてしまうのです(そんなことを常々言うなよ)
'04.09.21up


 

 

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