〜2〜


 

 ガチャリ、施錠する音に金蝉は震えた。今更ながら、何故こんなところまでついて来てしまったのかと後悔の念が湧き上がる。
 凍りついたようにただ突っ立ったまま動こうとしない金蝉を、捲簾は呆れたように見遣り、自らはさっさとベッドへと上がった。
「ちょっと、何してんだよ。ヤリ方、覚えてんだろ? また縛られたいわけ?」
 冷たい声。泣きたくなるのを堪え、金蝉はのろのろとベッドへ近づいた。手を伸ばしかけ、前回のことを思い出してその手はシーツに付き、身体を支えるようにする。
 最初からそのつもりであった捲簾は今日は、ベルトを着けておらず、釦もはめていなかった。歯で挟んでジッパーを下ろそうとして、唇に当たるその感触に一瞬躊躇する。が、思い切って一気に引き下ろした。
 下着をずらして、まだ何の変化も遂げていないものに恐る恐る舌を這わせる。
 少しずつそれが首を擡げてくると、ゆっくりと口内へと招き入れる。
 早く解放されたくて必死に愛撫を施すが、それはある程度の硬度を持つとそのまま、一向に絶頂を極める様子もない。息を乱すこともなく見下ろしてくる捲簾が、わざとらしく溜め息を吐いた。
「……ホンット下手な。あんた」
 やっぱクチだけじゃなぁ。そう、金蝉には理解できないことを呟き、ぐいと髪を引いて金蝉の頭を己の股間から引き剥がす。
 ホッと息を吐く間もなくそのまま引き寄せられ、金蝉は捲簾の隣にうつ伏せに倒れ込んだ。
 身を反転させた捲簾が、圧し掛かってくる。
「な………に、」
「処女はあんまり好きじゃないんだけど」
 ヨくないし、そんなことを言いながら金蝉の下肢を守る衣に手をかける。脱がせづらいそれを、引き千切る勢いで剥ぎ取る。
 思いがけぬ事態に驚き、逃れようと暴れるのを容易く押さえ込んだ捲簾は、耳元に唇を寄せて笑い混じりに囁いた。
「………でもしょうがないよなァ。あんた下手すぎるんだもんよ。上のクチがダメなら下のクチ、ってね」
 ぐい、と肉の薄い双丘をつかみ割り開いて。
 無造作にその狭間に押し付けられた熱。その正体を悟った金蝉の顔が蒼白になる。

 今まで知り得なかった、カラダを繋げるという行為。
 それがどういうことをするのか、初めて判った。
 ―――――よりによって、この捲簾に。
「…………い、いや………」
 怯えきった、震える声での抗いを、もちろん捲簾が聞いてくれるわけもなく。
「男ヤんのは初めてだからなー。多少イタくっても、カンベンな?」
 多少どころでは済まないだろうことを知りながら、軽くそう言い捨てて。
 捲簾は笑いながら、一気に金蝉の身体を引き裂いた。
 目の前が真っ赤に染まる――――――

「――――いやあああッ!」

 

 人形のように押さえつけられた記憶が、フラッシュバックする。逃れることも適わず、好きなように身体中を弄られた、幼い頃の記憶。

『今度もし、また怖いことや辛いことがあった時には――――』

 優しい声での大切な約束の言葉に、必死に縋りつく。
 こわい。こわい。こわい。いたい。いやだ、やめて、たすけて。

 たすけて。

 

 

「天蓬ッ……!!」

 

 



いきなり裏に来ちゃいました(案の定?)
そしてよーやく天金とリンクしました〜。
そう、これが書きたくてのあの話なワケですよ。
相変わらず大急ぎな展開でスミマセン〜
そして、短い。うう。
あと何回で終われるかなぁ(T_T)


 

 

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