LOVELY BABY
〜17〜



 シャンクスに、返事をした。
 よろしくお願いしますと頭を下げると、シャンクスはニッと笑った。すぐにゼフに連絡を取ってくれると言う。
「で、あの子のことはどうすんだ?」
 俺は、そのうち話すよと返した。
 ――――のだが、ふと気づけば期日が迫ってきていた。
 にゃんこには、まだ何も話していない。話せていない。どう言えばいいのか考えつかなかったからだ。自分の夢とか、マジに語るのもクソ恥ずかしいし、奴に理解を求めてどうする気だ、って思いもある。
 なにしろ、五年だ。まだたった十五のガキにとって、五年は長い。
 打ち明けてしまえば、奴は待つと言いだすかもしれない。五年もの間、奴を縛るのには、さすがに躊躇いがあった。
 そもそも、最初俺は奴を面白そうなオモチャと思っていた。今じゃすっかりハマっちまってるが、だからって奴を背負い込み切れない俺が、そんな都合のいい話に乗るなんて許されないだろう。
 俺は、奴を飼って好きにしている人でなしの男で、奴はただの被害者で。
 そのまま、終わらせなきゃいけないのだ。
 大人で経験豊富な俺が、痛みを負う。
 奴は、俺みてェなろくでもねェ男のことなんか忘れて、自分の道を行けばいい。ひどく傷つくかもしれないが、そんなのは一時のことだ。

 

 

 

 

 遅い食事の後、にゃんこをベッドに誘った。至っていつもの流れだ。泊まりの日にヤるのはほぼ確定で、にゃんこももう、最初の頃ほど恥じらうことはなくなった。慣れた、というほどではないが、赤くなりながらも俺の手を受け入れる。
「今日は、自分で全部脱いで?」
 先にベッドへ上がり、傍らに突っ立ってるガキに笑いかけると、赤い顔のまま俺を潤んだ目で見、パジャマ代わりのTシャツの裾を掴んだ。脱ぎ捨てられていく服を、俺はじっと眺めていた。
 最後の一枚になると、さすがにガキの手が躊躇する。迷って、俺をまた見て、思い切ったように一息に脱ぎ去った。
「ん、イイコ。……おいでゾロ、俺のも脱がせて」
 差し伸べた手を取り、ふらふらとよろめくような足取りでベッドに近づいてくる。そのまま乗り上げてきたにゃんこは、甘えるしぐさで肩口に頭を擦り寄せ、はむ、と首筋を甘噛みしてきた。
「牙は立てんなよ、にゃんこちゃん」
 くすぐったさにクスクス笑って言ってやれば、今度はぺろりと舐め上げられた。積極的なのも可愛い。
 にゃんこは俺の言いつけどおり、シャツのボタンをひとつずつ外していき、ズボンのベルトに手をかけた。バックルを外すのも、不器用なりにずいぶん早くなった。
「サンジさん、全部脱がす? 俺、あんたの、早く触りてェ……」
「エロいなァお前。将来そっちで食ってく気?」
 とうに興奮している奴の股間を撫でながら言った俺を、にゃんこはキッと睨みつけてきた。
「あんた以外のなんか、ヤに決まってんだろ……っ!」
 涙声の訴えに、俺は笑った。そんなこたァ判ってる。お前がそんなんなったのは、間違いなく俺のせいだし。
 この期に及んで未練たらたらなのは、俺のほうだ。この肌に触れる存在が、この先も俺だけであればいいと、そんなことを思ってしまう。
「こっちにケツ向けて、乗って。舐めさせてやるから、俺もお前の舐めさせて?」
「……っ!」
 半端に肌蹴られたシャツをそのままに、ズボンのジッパーを下げて反応しかけたモノを取り出して見せると、淫乱にゃんこは真っ赤になり、ごくんと喉を鳴らした。欲情に涙を滲ませた目は、俺のペニスに釘付けだ。
 シックスナイン自体は初めてじゃないが、いつもは俺が強引にその形に持ち込むので、奴からアクションを起こさせるのは初めてだった。
 しばらくもじもじしていたガキは、やがて意を決した様子で――何でそんな戦いでも挑むみてェな面してるのかね――俺の言う通りに上に跨って来た。
 目の前、よりも少し下のほうにぶら下がっている可愛いそれの先端を、舌を伸ばしてつつくようにしてやる。一瞬身を強張らせた後、倣うように奴の小さな舌が俺のものに触れてきた。最初はためらいがちにぺろぺろと舐めるだけだったが、じきに大胆にむしゃぶりつくようにしてくる。
 何度やらせても、あまり巧くはない。けれど、その拙さがまた嗜虐心を煽るのだ。
 俺は奴の尻を抱え込み、割れ目へと舌を這わせた。
「む……ぅ!」
 もごもごと口内に熱棒を含み込みながら、くぐもった声を上げるにゃんこ。抗議しているのだろうそれを無視して、俺は相変わらずきれいな色をしたそこに唇をつけ、舐めたり軽く吸ったりを繰り返した。与えられる刺激に応えるようにひくひくと息づき始める孔に、唾液を送り込む。
「ゃあ……ッ、あっ、それダメぇ……!」
「ゾーロ。続きして。俺の、舐めたいんじゃねェのかよ」
「だ、って……、あンっ!」
 指を挿入れて中を掻き混ぜつつ、まわりを舐めてやる。
 にゃんこはフェラどころじゃなくなって、俺のものを縋りつくように掴んだまま、腰を捩り喘いでいる。やりにくいだろ、と尻たぶを軽く叩くと、指をくわえ込んだところがきゅうっと締まった。さすがM。叩かれて感じちゃったらしい。
「やっ、もう、サンジさっ、コレ、入れて、もぉ欲しっ……」
「えっち」
 泣きながら強請るにゃんこに笑い、俺は今度はそのまま体勢を変えさせ、自分で挿入れるように命じた。
 覚えのいいにゃんこは、俺の仕込み通り至って従順だ。
「……んっ、」
 俺のペニスを片手で支え、その上にじれったいほどゆっくりと腰を落としてくる。じわじわと飲み込まれていく感覚が、たまらなかった。
 長い時間をかけてようやく全部を呑みこんだにゃんこは、これまたじれったくなるような動きでゆるゆると腰を揺らしだす。フェラ以上に下手だ。自分のイイところにうまく当てられないらしく、もどかしげに涙を零す。
 いつもなら、それを眺めて更に焦らすのが楽しいのだが、今日は俺もあまり余裕がない。
 尻を掴んで下から突き上げる。にゃんこは可愛い鳴き声を上げて背を仰け反らせた。いつの間にか、感じているのを隠さなくなった。声を殺そうとしなくなった。
 抱き寄せて体勢をもう一度変え、動きやすいように正常位の形に持ち込む。にゃんこが、すかさずしがみついてきた。
 ぴったりとくっついた肌のぬくもり、背にまわされた腕の力。首筋をくすぐる、熱い吐息。
 ――――愛しさが、込み上げた。


「好きだよ、ゾロ」

 それは、初めて口にする言葉だ。自然に零れたそれに、にゃんこは喜ぶものだと思っていた。何度か想像した、いつか俺が応えた時、こいつが浮かべる、綻ぶような笑みを。
 なのに何故――そんな不安そうな目で見る?
 まるですべて理解っていて、今まさに別れの言葉を聞かされたように。

 

 

 

 

      ――――NEXT

 



前回短めだったので、今回ちょっと長めで。
いや微妙ですけど。単にキリをつけれなかったんですけど(死)
つか、久々のエロですが、エロを入れる意味あったんのかな―(笑)
フツーに、ご飯食べてる時にぽろっと「好きだ」って言うんでもよかったんじゃ…
ああでも、何かエロもワンパな感じがしますね〜。
あんま変わった体位とかプレイとか好きじゃないんですよね…(^^ゞ
別れの時が近づいてます。
サンジさんがどうするのか、にゃんこがどうするのか、お楽しみに!(ええ〜)
'09.09.07up


 

 

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