INSANE FEAST

  −序−

 

「三日で帰ってきますから」

 後始末してあげられなくてゴメンネ、そう言いながらカカシは額当てを斜めに結び口布を上げた。
 ベッドの中からその様子を眺めていたイルカは、笑って首を振り、「いってらっしゃい、カカシ先生。気をつけて」と挨拶をした。
 それに、右目だけでにこりと笑い返し、カカシが部屋を出て行く。
「いってきます、イルカ先生」
 残された言葉に、イルカは今度は声には出さず、もういちど「気をつけて」と呟いた。

 

 

 任務へ赴くカカシを見送ったあと、イルカは散々貪られ疲れ果てた身体を、もういちど横にした。
 このまま、少し眠ってしまいたい。
 そうは思ったが、身動いだ拍子に緩んだ後口からカカシの残滓が溢れてきて、その感触にイルカは身をすくめた。これではとても眠れない。
 ――――それに、このままにしてたら腹下しちまうしな……。
 イルカは仕方なく、力の入らない身体を何とか起こし、とりあえずシャワーを浴びに行くことにする。
 そろそろとベッドから降り、一歩を踏み出す。

 次の、瞬間。

 

  キイ…ン

 

 脳に直接響くような音に、イルカは全身を緊張させた。部屋全体を包む、奇妙な違和感。
 ――――これは……結界!?
 とっさにクナイを取ろうと手を伸ばす、その動きよりも早く、イルカの身体は再び先まで横たわっていたベッドに投げ出されていた。
 誰何の声を、何者かの手のひらに封じられる。
 いっぱいに瞠られたイルカの目に映ったのは、己の上に圧し掛かる年若い男の姿――――――。
 明るい色の髪をイルカと同じように頭の天辺で結わえた男は、その長い髪を振り乱し、憎悪に満ちた目でイルカを見下ろしている。

「なんで……、お前みたいな中忍に、なんでっ!」

 低く押し殺されたような、呪詛にも似た声。
 その意味を考える間も与えられず、キン、という高音とともに視界が真っ暗になる。
 押さえつけられていた手が離れ、とっさに叫ぼうとしたイルカだったが、喉から漏れでたのは意味を成さない呻きのみで。
 先ほどの言葉とイルカを圧倒するチャクラの大きさから、男はおそらく上忍―――少なくとも特別上忍クラス。
 視界を奪われ、声もまともに出せず、マウントポジションを取られ。
 逃げられないと知りつつ藻掻けば、両手を取られ、親指どうしを糸のようなもので括られてしまった。
 これでは、印も組めない。絶望がイルカを襲う。
 男の身体が退き、それでも苦し紛れに振り上げた足は、しかしすぐに捕らえられ、両の足首を掴まれて左右に大きく開かされた。
「………………っっ!!」
 自分が全裸であったことを思い出し、イルカは無防備にすべてを曝け出している己の状態に竦みあがった。
 男は何者で、いったい何故このようなことをするのか。
 自分は、何をされようとしているのか。
 恐怖に見えない目をただ見開いて身を硬くするイルカの耳に、届いた声。

 

「……カカシさん……ッ!」

 

 狂おしく、血を吐くようなその声音に、イルカは息を呑んだ――――――。

 

 

NEXT

 



そんなわけで、続き物です。
二話目から裏仕様ですので、ご注意ください。
多分、こんな感じで短く連載していきます…
そしておそらく、『歪み』以上にスローペース(死)。
今更ですが更に注意しておきますと(遅)、この話は
イルカ先生がカカシ先生以外にあれやこれやされてしまう話です。
しかし、この手の話って、カカイラさん的にOKなんでしょうか…?(苦)
もしあまりにも反応がなかったら、いつの間にか消えてるかも。
最遊記の江流ちゃんの話のように…(怖)
'05.11.07up


 

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