たべちゃいたい。
〜2〜



 しばらくして戻ってきたコックは、ローションの入った壜と、何故かロープを持っていた。壜の中のローションが半分以下に減っているのが、何だか居た堪れない。
 それに何より、ロープが嫌な予感を感じさせた。
 ナミは、コックと目を見交わし、にこりと笑った。嫌な予感は、ますますおおきく膨れ上がる。それは、ほとんど恐怖に近かった。とっさに逃げ出そうと身を捩ったが、途端に体内にあるナミの指が角度を変え、痛みともつかない感覚にぎくりと身が竦んだ。
 そのわずかの隙に、コックがテーブルに乗り上げ、俺の背後にまわって俺の上体を捕らえた。後ろ手に捻られた両腕の、重なった肘から手首にかけてを、ロープがぐるぐる巻きに絡みつく。
 ナミの指が抜け、ホッとして、コックの行為を咎めようとしたら、正面のナミがコックから二本の短めのロープを渡されていた。
 ナミは俺の足首をそれぞれ縛り上げ、ロープの一端をコックに返す。
 何をするつもりだと、問うのもバカらしい。俺は首だけを捻って振り返り、コックを睨んだ。が、その俺の視線を受け止めた奴は、まったく動じず、笑みを返してくる。
 ロープは、腕を括ったそれの隙間に通され、がっちりと固定される。俺は、大股を広げた間抜けな格好を強要された。
 己の姿を思えば、顔に血が昇る。何しろ、すべてをナミの――女の前に曝しているのだ。
「あァ、似合うぜゾロ。エロくて、クソ可愛い」
 俺の肩越しに覗き込んで、寝惚けたようなことをコックが言えば、
「ホント。……食べちゃいたいくらいよ、ゾロ」
 ナミも満足げに言う。その目は、情欲に妖しく濡れている。逃げ出したくなる、なのに頑丈なロープを何重にも巻かれては、さすがの俺も力づくで引きちぎるのは無理だった。
「てめ…ら、覚えてろよ……ッ」
 低くそう唸るが、どっちも堪えた様子はない。
 ナミが、ローションの栓を抜く。俺を眺めながら、見せ付けるように指に垂らし、絡める。尻で後退ろうとしたら、背中がコックの胸にぶつかった。
 何でもねェ、なんてわけがねェ。
 こんなこと、許せるわけねェだろうが……!
「っ、くぅ……っ!」
 ズズ、と指が再び押し入ってくる。先とは違い濡れているせいか、痛みはない。ぬちゅ、といういやらしい水音がそこから聞こえて、ぞくりとする。
 犯されている。
 それも女に。
 泣きたい気持ちで、唇を噛む。
 と、コックの手が俺の顎を強く掴み、関節を開かせるようにしてきた。
「声、噛むな。いつもみてェに鳴けよ。ナミさんに、お前の可愛い声、聞かせてやれ」
「ふぁ……ッ」
 情けない声が漏れた。
 きつく瞑った目尻に、涙が滲む。何で、こんな目に遭ってるんだ。
 本当はこいつらは俺を憎んでいて、甚振りたいだけなのではないか――そんなふうにさえ思える。苦しいし、辛い。恥ずかしくて情けなくて、どうにかなってしまいそうな自分が恐ろしい。
 気づけばナミの指は、何度もローションを絡め、二本に増えていた。ぐちゅぐちゅと水音を立てながら内部を探り、抜き差しする。
 けれど、すぐに俺のそこは物足りなさを感じ始めた。
 コックのものとはまったく違う、ナミの細い指は、太さも長さも足りなくて。もどかしく、焦らされている気になる。
 俺のものは勃ち上がって汁を漏らしていたが、イクには刺激が足りなかった。
「……っは、ん、ん……ッ」
 自由にならない身体を悶えさせると、コックの手が前にまわり、尖った乳首を摘んではぐりぐりと捏ねた。ビクビクと、勝手に上体が跳ねる。
 ナミは眉根を寄せて、俺の股をじっと見ている。自分の指では足りないと、気づいているらしい。指を更に増やしつつ、呟いた。
「私。今までも何度でも、思ったことはあるけど。……今ほど、自分が男だったら…って思ったこと、ないわ」
 そうしたらゾロに突っ込めるのに……って、アホか! 深刻な表情で言うことか!?
 俺の乳首で遊んでいるコックが、ナミの言葉にちいさく笑った。
「そりゃダメだよ、ナミさん。ナミさんが男だったら、俺、遠慮しねェもん。ゾロは俺がもらうよ」
「あら、私だって。自分だけのものにしてたわよ」
 馬鹿馬鹿しい会話を続けながらも、俺を煽る手は止まらない。どころか、ナミの指は両手合わせて五本にまで増え、長さはともかく、太さでは圧迫感に息が詰まりそうにさえなっていた。
 必死に声を殺そうとすれば、コックが指を口の中に突っ込んできた。舌を挟まれ、根元の辺りをくすぐられて、背をぞくぞくしたものが走る。
「や、んふっ……う、あぁっ……っ」
 口を閉じられないから、声が抑えられない。自分でもどうかと思うような変な声が出た。
 ナミがちいさく笑った。
「何よゾロ、いやらしい声出して。お尻がそんなに気持ちいいの? それとも、乳首?」
「両方だよな、ゾロ。……ああそうだ。ナミさん、待ってて。ゾロの好きなモノ、貸してあげる」
 乳首を弄っていたコックの手が離れ、背後でごそごそと何かを探る気配。スーツのポケットかどこかに隠し持っていたらしいソレを、はいどうぞ、などと言いながらナミに手渡す。
 見たくない、と反射的に思って、なのに確かめずにはいられなかった。
「……へェ」
 ナミが、感心したような声を上げる。
 俺は、見てしまったことをさっそく後悔した。見なかったからと言って状況は変わらないだろうが、それでも見なければよかったと思った。
 形自体は初めて見るものだったけれど、その用途は一応知っている。所謂張り型という奴だ。ただ、ナミがコックから渡されたものは、両端が丸く、リアルに少し張り出した部分まであって、どちらが頭だか判らないようなものだった。

 

 

 

 

      ――――NEXT

 



変なとこで切ってすみませんm(__)m
本格的に、3Pぽくなってきました(何を目指してるんだ)
ちなみにお道具は、双頭ディルドーという奴です。
ネットで調べると、『レズ用』ってなってます。そういう物です。
ま、タチの女とネコの男なら、ある意味レズですよね(死)
間が空く予定でしたが、考えたらそろそろこの本の原稿しなきゃな時期。
部数を少なくしようと思ってるので、早割を使いたいのです。
単価高くなっちゃうからね(苦笑)
おかげで、合わせるイベントの日程と、締切の早さがカカイルと逆(笑)
この本を片した後で、カカイルを始めるのです…。
'08.03.24up


 

 

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