I’m Jealous土曜の夜だ。 週末にはお泊りが基本となっている。普段は思う存分ヤれねェから、翌日の昼まで空いてるこういう日にはしっかりヤりまくるってわけだ。 このガキとこーゆーことになってからと言うもの、俺のサカり具合ときたら、それこそ高校生並みで。仕事柄、そこまで溜まるなんてことはないはずなのに、それでもいつもシ足りない、なんて思ってしまうのだ。イイ年して。 で、今日もいつもどおり、ヤりまくろーって張り切ってた矢先の、この宣告。 思わず、え〜、なんてガキっぽい不満の声を上げそうになったけれど、そこはこらえて。 「何、バイト忙しーわけ? つか、そういや訊いたことなかったけど、何のバイトしてんの、お前」 「焼肉屋。メラメラってとこ」 知ってる? と、にゃんこが首を傾げる。 一応、知ってはいる。行ったことはねェけど。結構美味いと評判の店だ。チェーン展開はしてなくて、一店舗を大事に守ってる感じなのがまた評価を上げているらしく、客にも何度か勧められたことがある。 つーか。 「接客業? お前ちゃんとできてんの? てか、そういう店ってフツーはランチからの営業だろ。何で朝からよ」 妙な感心半分。後半は、ほとんど愚痴に近くなった。みっともねェ。 しかし、激鈍なお子ちゃまは、そこには気づくことなく、 「たまに注文聞いたり、肉運んだりするけど、俺は皿洗いが中心だし」 前半部分にだけ反応して、生真面目に返してきた。いや、そーゆー話じゃねェだろ。ちっとは空気読めよ。 「だから。焼肉屋のバイトで、朝から何すんだよ?」 「仕込みの手伝い。いつも店長が一人でやってっけど、たまに俺も手伝うことにしてんだ。色々世話になってるし」 「ふーん。役に立ってんの? お前」 からかう口調で言えば、ガキはムッと唇を尖らせた。とても愛らしい。この顔見たさに、つい意地悪を言ったりしてしまう。何しろ俺、ドSだし。 ま、その辺の話は置いておいて。 ガキの口ぶりでは、特にシフトとして決まった話ではないらしい。たまに、と言う言葉どおり、この二ヶ月近く、そんな予定が入ったことはなかったのだから。単に土曜の朝に入ってたのかもだけど。 でもまァ、だったら別に、明日じゃなくてもいーんじゃん? と、すっかりヤる気満々だった俺は、そんなふうに考えてしまう。きっと、俺が言えば。 「……ゾロ」 おいでおいで、と手招きすれば、ガキはきょとんとして、無防備に俺に近づいてくる。 俺はにやりと笑い、その腰をぐいっと引き寄せた。両足を挟みこんで、下半身が密着するような形で。 「え……っ」 正直な俺のムスコが硬度を増して奴のソコを押すと、ガキはびっくりした顔をし、次いで湯気でも噴きそうな勢いで真っ赤になる。 俺はまだ細っこい首の付け根に唇を当て、低く囁いた。 「なァ、バイト……いつもみてェに午後からにできねェ? 俺、今夜はお前のこと、足腰立たなくなるまで可愛がりてェ……♥」 こいつの弱い、甘ったるい声で、背にまわした手でいやらしく腰へと撫で下ろしながら。 ガキはびくびくっと全身を震わせ、押し付けている俺のモノを強かに押し返してきた。目に入る、首筋まで真っ赤だ。俺以上に正直なカラダ。こうなったらもう、逆らえないだろう。 目を上げると、ガキは困りきった表情で、潤んだ瞳の中に欲を覗かせて俺を見下ろしていた。 もう一押し、とばかり、俺は背中じゅうに這わせていた手で、小さな尻を掴み、きつめに揉んだ。それだけで足元が崩れて、俺の肩にしがみつく格好になる。 「な、ゾロ。頼んでみてよ……?」 ガキは慌てた様子で、電話する! と叫び、俺の腕から逃げ出した。
「……あ、エース? 俺。……うん、悪ィ、明日……うん。次はちゃんと手伝う。……ありがとう」 断りの電話は、思ったよりもあっさり、短く済んだ。 ケータイをバッグに戻すガキの背後から、覆い被さるように抱き込めば、驚いたらしいガキが「うわっ」と小さく悲鳴を上げる。 「店長サンに連絡したんじゃねェの? 誰だよエースって」 ずいぶん親しげだった会話――っていっても、向こうの様子は判らないんだけど――にツッコむと、ガキは「店長だよ」と返してきた。 「ルフィの兄ちゃんなんだよ。コネで使ってもらってるみてェなもんだ」 「ルフィ……って、あのチビ?」 つい先日、こいつと一緒のところを見た、黒髪の悪戯坊主っぽいイメージのガキを思い出して言うと、 「チビって……俺と変わんねェ」 にゃんこが拗ねた。 拗ねてェのはこっちだ、と言いたかったが、俺のささやかな嫉妬心など、このマリモ頭に理解しろというほうが無理な話だ。 俺は諦め、当初の目的に専念することにした。 「っ、あ、ちょ……サンジさ……っっ」 焦ったような声は無視だ。 朝までコース、決定。
――――END
エースの役割が、バイト先の店長、というのは決まってました。 最初はコンビニの設定だったのですが、 『メラメラ』って焼肉とか鉄板焼き屋の店名にイケる!と思って。 サンジさんの、ちょっとしたジェラシーでした。 サンジさんは一回ハマったら、結構嫉妬深いひとだったりします。 もちろんルフィにだって、ささやかな嫉妬、を感じてます。 ゾロたんは最初から恋人意識が薄いため、嫉妬とかはしません(苦笑) ちなみに小話『その関係』の数日後、くらいの話です。 '09.03.18up
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