知ってるよ。



 俺のいちばん大切な宝物(ゾロ)を奪ったサンジ。
 別に、責めやしないし、船長命令でふたりを引き離したりもしねェよ。ゾロがいいんならそれでいいし。俺は、サンジのことだって大事だからな。
 けどさ。
 やっぱ、悔しいじゃねェか。
 ゾロは俺を、船長として認めてくれてるけど、普段はすっげーガキ扱いする。きっと、手のかかる弟とか、そんくらいにしか見てねェんだろうな。
 だから。

 

 

「なァ、ゾロ」
 刀の手入れをしているゾロの隣に座り込んで声をかけると、刀から目を離さないままでゾロが「なんだ」と応える。
 俺は頭の後ろで腕を組んで、何でもない口調でさらっと訊いてやった。
「いっつもさァ、夜中、サンジと何してんだ?」
「…………ッ!!」
 よほど驚いたのか、ゾロは刀を取り落としそうになった。

「こないだの夜、俺、腹減っちまってさァ。キッチン行ったら、お前らがくっついてて」

「…………!!!」

「その前は、食いモン探しに倉庫行ったら、木箱の影にお前らがいるの見えて」

「―――――っっっ」

「なァ、いっつもふたりで何やってんだ?」

 動揺を隠せないゾロに、追い討ちをかけるようにそう訊きながらその顔を覗き込んだ。
 ゾロは真っ赤になりながらも、ムキになったように刀をじっと睨みつけている。
「なァ、ゾロ――」
「っ……な、何でもねェよっ。酒飲んで、ちょっとふざけてただけだ」
 もう一度名前を呼んだら、そう答えた。ゾロにしては、まあまあ上出来の言い訳だ。
「ふーん、そっか。けどあんまり暴れて、メリーを壊すなよ?」
「お前に言われたくねェよ!」
「そりゃそーか。しししっ」
 誤魔化されてやったふりで、いつもみたいに笑ってやったら、ゾロもホッとしたように笑った。

 

 

 アホだなー、ゾロは。俺、もう十七だぜ? 裸で重なり合ってるお前ら見て、なんも気づかないわけねェだろ。セックスくらい知ってるっつーの。お前らがそういう関係だってことも、わりと最初のほうで気づいたと思うぞ。
 でも、これで当分は、俺を警戒して、ゾロはサンジとセックスしなくなるだろう。
 理由も聞けずにおあずけ食わされるサンジの、情けない顔が浮かんだ。

 

 

 

 ざまぁみろ。

 

 

 

 

      ――――END

 



2008年9月 初出。
ゾロ受けプチオンリー合わせに作ったペーパーより再録しました。
いつもは、こういうルゾロを書くとき、船長はもっと大人ですが(…)、
たまには意地悪する船長もいいんじゃないかなー、と。
ちなみにこの日の新刊は、ナミゾロでした。
せっかく『ゾロ受けプチオンリー』なので、サンゾロ以外で、と思ったようです。
結局、これはベースはサンゾロなんですけどね(^^ゞ
タイトルは、後付け。意味深な感じで(笑)
基本、お兄ちゃんぶってるゾロたんより、船長のほうが大人なんです(苦笑)
'09.11.23up


 

 

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