ズルイ男
カカシが、女と歩いていた。
今日は上忍同士の飲み会だと言ってなかったか・・・?
何も毎日毎日来ていたわけではなかったが、火影さまからいい酒を頂いた。
だから、今日どうですか?と誘ってみた。
それが断られたのだ。
まあ、付き合いがあるのは上忍も中忍も変わりがない。
そう思って、また今度に、と言って別れた。
週末にはいつもカカシは泊まりにくるし、その時でも遅くはない。
イルカは切り上げようと思っていた仕事に手をつけた。
おかげではかどるのははかどった。
今週末は残業や持ち帰りの仕事もないだろう。
そう思うと嬉しかった。
遅くなって、閉店ギリギリの一楽へ滑り込んだ。
この時間には酔客が流れてきて混む。
それも仕方ない。週末はカカシとゆっくり出来るから。
そう思っていたのだが、一楽を出たところで、カカシを見た。
女と一緒だった。腕を組んで。
真っ直ぐな黒髪が長くて、華奢なつくりの女・・・。
カカシの肩ぐらいまでしかない身長。
背を向けていたが、カカシを見上げるために横を向いた顔が白くて美しかった。
何もかもがイルカと違う。
そんな綺麗な女。
女は必要以上にカカシに擦り寄る。綺麗な胸の膨らみもくびれた腰も押し付けるように。伸び上がって唇さえも近づける。
カカシは当然のように嫌がるそぶりも見せずに、自分からも顔を近づける。
明らかに・・・、唯の知り合いとは言い難い、恋人同士のような距離。
これを見た十人中十人がお似合いだと言うだろう・・・。
カカシの腕が、組んでいた女の腕を解いて、くびれた腰を抱いた。
自分でも血の気が引いていくのが判った。
カカシはそのまま人ごみの中に消えていた。
その一方で、ああやっぱりな、と言う諦めに似た気持ちも浮かんだ。
あの女好きが、イルカのような無骨な男を抱いて満足していたはずはないんだ。
―――もう絶対にアナタ以外の人に触れないって誓います―――。
確かそう言って口説いたよな、オレのこと。
ググーッと熱いものが腹に込み上げる。
―――俺をアナタの初めてで最後の人にして―――。
そうも言った。
実際イルカにとっては最初で最後の人のつもりだった。
幾つもの夜を飛び越えて、二人で過ごしてきたのに。
だが、カカシにとっては違ったのだ。
大体、イルカの前の女たちを、カカシは喰っちゃ捨て喰っちゃ捨てしていた。
自分だけは違うなんて、思い上がりもはなはだしい。
それは頭の隅ではちゃんと自覚していた。
だからってすんなり諦められるかと言うとそうでもないのだが。
イルカは瞬時にそんなことを考えると、ハッと我に帰った。
それでも、まだ恋人である以上、一言文句を言ってやってもバチは当たらないだろう。
カカシが消えた辺りに駆け出した。
家へ帰ったのか、女の家へ行ったのか、それともホテルへしけこんだのか。
そんなことを考えながらカカシを捜す。
取りあえずは、とカカシの家のほうへ道をたどる。
人ごみが途切れた向うに、月に輝く銀髪を見つけた。
「待ってください!!カカシ先生!!」
叫んで呼び止める。
カカシはビックリしたように立ち止まった。
「・・・イルカ先生?」
はあ、はあ、と肩で息をしながらカカシの腕を掴んだ。
酒の香がしない・・・。カカシは大して飲んではいないようだった。
とすれば、酔ってあんな行為に及んだというわけではない。
女は、居なかった。どこかで別れていたのだ。
そのことにホッとした。少なくとも夜を過ごす気はなかったようだ。
どうしたんですか?といつもの調子でにへら〜と笑うカカシに腹が立った。
「アンタ!今日、上忍の飲み会じゃなかったんですか!?」
「・・・ええ、そうですよ。今、帰るとこです」
イルカの激昂とは裏腹にことさらのんびりと答えるのが、腹が立つ。
「本当にどうかしたんですか?イルカ先生変ですよ・・・?」
変?そりゃあ変にもなるだろう?恋人の浮気を見たんだから。
「それで、女といちゃいちゃと?」
ぐっと睨みつけたが、カカシはポカンとしたままだった。
「女・・・?サツキのことですか?同じ方面だったんで送っただけですが・・・?」
あの女はサツキと言うのか。
「送っただけ?べったりとくっついといて?」
「べったりとって・・・。普通でしょ?女といてまったく離れてってのも失礼でしょう。くの一は身体が武器なんですから、魅力ないって言うようなもんですよ?」
女にまったく触れないってのはシツレイなのか・・・?
イルカは頭が真っ白になった。
イルカが責めると、カカシは言い訳をするものだと思っていた。
こんな・・・、開き直りのような科白を聞かされるとは・・・。
「オ、オレはそうは思いません!女の方を送っていくのは当然かと思いますが、触れる必要はないでしょう?アンタに下心があるとしか思えません!」
イルカが叫ぶと、カカシははーんと目を細めた。
「何?イルカ先生、焼もち?」
ムカーっ。
いつももの凄く敏感なくせに、時々嫌になるぐらい鈍感になる。
焼きもちなんて当たり前だ。そうでなくて詰め寄ったりするものか。
それをこんな茶化した物言いで誤魔化すつもりか!?
「もう、アンタの顔なんて見たくない!二度と来るな!!」
子ども相手に鍛えた声量が、空気を震わせる。
そこで初めて、カカシの顔色が変わった。
イルカが本気で怒ったことに、今更ながらに気がついたのだ。
「あの・・・、イルカせん・・・・」
伸びたカカシの手を振り払って、跳んだ。
上忍相手にしては上手く逃げたと思う。
家に帰って、一人の部屋にため息をつく。
上手く逃げたと思ったけど、実は追いかけてこないだけだったのではないか?
カカシはイルカのココロに敏感だ。
それでいて、追いかけてこないのは・・・。
別れる・・・、かもしれない。
イルカは初めて思った。
「どうした?元気ねえなあ・・・」
はっとして顔を上げると、アスマが顔を覗き込んでいた。
「あ・・・、すいません。アスマ先生。お疲れ様でした」
ニコッと笑って、報告書を受け取った。
あれから3日。その間カカシはイルカに顔を見せなかった。
来るなと言った、イルカの言葉を真に受けてるとは考えにくい。
言い訳さえ、言いたくない相手になったと言うことだ。
一人きりの食事。一人きりの部屋。
一緒に暮らしていたわけではないので、そんなの当たり前なのに悲しかった。
カカシはこのまま離れていくのだな、と漠然と思った。
眠れなくて、食べれなくて・・・。
やっぱりあんなふうに責めるのはまずかったのか、とまで思った。
でも・・・、自分が間違っていたとはどうしても思えない。
カカシの家へも勿論行ってみた。謝るつもりはないが、話し合う余地はある。
だが、居なかった。あの女と本当に関係があったのか、それとも別な誰かか。
イルカには確かめるすべはなかった。
焦れてイライラしたのは最初だけ。三日も経つと・・・、諦めに似た気持ちになっていた。やっぱりな、と。
あんまりすんなりとイルカの生活に入り込んだ人だから、ずっとこのまま一緒にいるのだと勘違いしていた。
カカシはモテる。まだ付き合ってなかった頃は、何度も修羅場を目撃した。
イルカと付き合って半年、そんな事一度もおきなかったが、とうとう本領を発揮しだしたわけだ。
いや、イルカが知らなかっただけで、何度もあったのかもしれない。
明日からの週末は一人きりだ。こんなことなら仕事を残しておけばよかった。
今更ながらにそう思う。明日は何して過ごそう・・・。
「ため息ばっかだな、イルカ。カカシの奴、任務だもんな・・・」
からかうような口調でアスマが言う。
「え・・・?」
任務?任務っていったよな、今。
暫く顔を見なかったのって・・・、そのせい?
「普段は邪魔でも、一週間も留守されっと、寂しいって顔だぞ」
「カカシ先生、任務・・・、だったんですか?」
アスマはお?っと言う顔をした。
「知らなかったのか?3日前からだ。そういや、急な呼び出しだったな。行きたくないって散々ダダこねたって話しだったが。お前にも言っていけなかったのか」
言いにいけなかったのか、言いたくなかったのか、どっちだろう。
「はい・・。知りませんでした」
「そうか、そりゃ悪かった。もっと早くに教えてやればよかったな」
アスマがポリと髭を掻く。
イルカは慌てて、両手を振った。
「あ、いいえ。すみません。あのこれで結構です」
「ああ・・・」
アスマが言うと、サッと横から報告書が差し出された。
「これもお願いね、イルカ先生」
紅だった。
「お疲れ様です」
笑って受け取ると、紅はドン!とカウンターの上に幾重にも包まれたビニール袋を置いた。結構大きく、重そうだ。
「イルカ先生、お魚さばける?」
「は・・・?」
イルカは顔を上げて、紅とカウンターの上の袋を見比べた。
「カカシがね、自慢してたから。イルカ先生、凄く料理が上手だって。出来るかな?と思って」
「はあ・・・、まあ、出来ます」
刃物を使うのは元々得意だ。魚は好きだから料理できる。
それを聞くと、紅はぱあっと顔を明るくした。
「よかったー。じゃあ、これ貰って」
ビニール袋をズイとイルカの方へ押し出した。
「今日、魚屋の手伝いだったの。それでおまけに鯵貰ったんだけど、私料理できなくて。良ければ貰って」
ちょっと中を覗くと新鮮な鯵がたくさん入っていた。
確かに美味そうだ。でも、一人にはいかにも多い。
カカシがいても居なくても、どの道一人かもしれない週末・・・。
「ありがとうございます」
一度頭を下げてから、アスマと紅を交互に見た。
「・・・あ、あの、よろしければ紅先生とアスマ先生、うちで一緒にこの鯵、召し上がりませんか?これ一人には多いですし・・・」
紅とアスマは顔を見合わせた。
「・・・いいのか?」
「ハイ!あ、この間火影さまに頂いたいい酒もあります。この鯵たたきにして、やると美味いですよ」
「酒?何、何??」
紅の目の色が変わった。このくの一はたおやかな外見と違って酒豪だ。
「『火の誉れ』です」
滅多なことでは手に入らない、火の国の銘酒だ。
「行く!!行かせていただくわっ!!」
紅はガバッとイルカの手を握った。
イルカの定時に合わせて受付を出た。
アスマと紅は子どもたちの話をしてくれて、イルカは嬉しかった。
イルカが魚をさばくところを興味深げに見ていたが、紅に手伝わせると散々だった。料理が出来ないというのは本当らしい。
カカシがいないかもしれない生活・・・。
それでも大丈夫かもしれない。こういうふうに友だちと週末を過ごせば。
いつの間にかカカシがいることに慣れたように、居ないことにも慣れていく。
きっと、大丈夫。
ぱっぱと皿に盛り付け、薬味をかける。
取り皿にしょうゆ、割り箸を抱えて食卓に置いた。
そして一升瓶。紅の目が光る。
「それじゃ、お疲れ様でした」
イルカが言うと、いただきまーす、と紅が元気な声を上げた。
鯵は新鮮で美味かった。
酒も申し分なかった。
アスマと紅の話も面白かった。
・・・・それなのに、気が晴れないのは、やっぱりここにいない男のせいだろう。
それに気付くのは口惜しかったけど。
――――!―――――
気付いたのは、イルカが最初だった。
それは確信できる。
「一週間と聞いたが・・・、随分と早かったんだな」
アスマが口に鯵を放り込みながら言う。
「何で入ってこないの?あのバカ」
紅はすでにコップで飲んでいる。
「どうしてでしょう・・・?」
アスマにも紅にもしたと取れる返事をして、イルカは首を傾げた。
任務を終えて駆けつけてくれた。それは嬉しかったが、どういう顔をして会えばいいのか、判らない。
迎えに行くでなく、入ってもこない。
その不自然さに、アスマと紅は顔を見合わせた。
「・・・ケンカしたの・・・?」
さも意外そうに紅が聞いた。イルカは、ええまあと頷いた。
誤魔化すつもりが、紅はしつこくて、結局洗いざらい吐かされた。
「ああ、もう!男って最低!!」
紅に断罪されて、アスマとイルカは首を竦めた。
「男、じゃなくてカカシが、だろ?」
アスマはそれでも果敢に反論を試みる。
「どっちもよ!なーにが触らないとシツレイよ!女をバカにすんのもいい加減にしろっての!嫌いな男になんて触られたくないに決まってるじゃない!!」
ドン、とテーブルにコップを打ちつけた。
ついで、と目で命令されて、イルカはトクトクと注いだ。
「身体摺り寄せて男に色目使うってことは、その男を狙ってるってことじゃない。そんなことも判らないの!?」
やっぱりそうなんだ。イルカは納得する。
「だから、カカシに言えよ!」
アスマはめんどくさそうに言う。
「そうだけど、一番に言う権利はイルカ先生にあると思うの!」
紅はそう言って、酒を一気に煽ってから立ち上がった。
「アスマ、帰るわよ」
「え、もう?」
イルカは思わず言ったが、アスマも頷いて立ち上がった。
「何かあったらいつでも逃げて来い。かくまってやるからよ」
とんと眉間を突かれて、仰け反る。
その隙に出て行かれて、慌てて玄関まで出た。
「アスマ先生、紅先生!今日はどうもありがとうございました」
ペコリと頭を下げると、階段を下りようとしていた紅が戻ってきた。
「女が自分から触るのは、相手に気があるからよ。憶えときなさい」
そう言って、イルカの頬に唇を押し付けた。
胸が、肉感的な身体が押し付けられて、ドキッとした。
ちらちらと見え隠れしていた気配が、殺気になった。
だが、紅は気にしたふうもなく、殺気を纏いつかせたまま踵を返した。
アスマがタバコを咥えながら、ちらりと屋根の上へ視線を走らせた。
「ったく、鬱陶しいな」
イルカは真っ赤になった頬を手で押さえつつ、苦笑した。
「ええ、まあ。近所迷惑ですね・・・」
「まあな。言っても判らないようなら、いつでも逃げて来い」
もう一度言って、アスマは背を向けた。
それを見送ってるうちに、殺気は気配へと変わり、そして・・・。
ああもう!!何だってんだ、あの人は!
イルカは盛大にため息をついて、思い返した。
確か前にもこんなことあったな・・・。
イルカは跳んだ。屋根の上へ。
そこでは・・・。上忍が膝を抱えて泣いていた。
「何泣いてるんですか?アンタ上忍でしょう?」
「だって、だって、・・・イルカ先生が・・・。俺任務で、がんばってたのに・・・。俺には来るなって言っといて、髭と紅と楽しそうに・・・」
情けないぐらいに声が震えて、ずずっと鼻をすする。
「俺、イルカ先生に捨てられたら生きていけないのに・・・。イルカ先生二度と俺の顔見たくないって言うし・・・」
イルカはむっとした。二度と見たくないなんて酷い言葉を言わせたのは誰だ?
「アンタねーっ!酷いのはアンタでしょ!?大体アンタが女にイチャイチャするから!それに、任務だったら任務とちゃんと言ってください!」
「だって、だって、ジジィが無理矢理・・・。俺、イルカ先生追いかけなきゃダメだって言うのに、早く任務へ行けって追い出されて・・・。イルカ先生、怒ってたから謝らなきゃって思ってたのに・・・」
追いかけてこなかった理由は判った。
謝るつもりもあったらしい。
それだけの事に・・・、イルカは顔に笑みが浮かんでしょうがなかった。
ぐちゃぐちゃなカカシ・・・。これでは百年の恋も覚めそうだ。イルカ以外は。
「ホントに・・・、心配したんですよ。全然姿見せないから、オレのことなんてどうでもよくなったのかと・・・」
「そんな・・・!」
勢いよく振り向いたカカシは、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。
ぶふっと思わず吹き出すと、カカシがまたぐちゃっと泣き顔になった。
「無事に帰ってきてくれて、オレのところへ真っ直ぐ来てくれて嬉しかったです」
イルカがそう言うと、カカシがガバッと立ち上がって、抱きついた。
「イルカ先生〜。ごめんなさい」
イルカにキスしようとして、はっとしたように固まった。
イルカがどうしたのかと顔を上げると、カカシは自分の服の袖でイルカの頬をゴシゴシと擦りだした。凄い力で痛かった。
「ちょっと、カカシ先生。何ですか?痛いです。止めてください!」
「ダメ!ちょっと我慢して。あいつ、こんなもんを俺のイルカ先生に〜」
その言い方に、ハタと気が付いた。
カカシに擦られているところは、紅の唇を受けたところだ。
きっと赤々とした口紅がついていたのだろう。でも・・・。
「痛いです、って。カカシ先生!」
無理矢理カカシの手を遠ざける。
「あの、女!今度会ったら絶対に殺す!!」
物騒なことを言い出すカカシに、冷たい視線を向けた。
「女といて、まったく触れないってのは、シツレイなんでしょう?」
カカシはビクンと身体を揺らした。
「相手はくの一で、身体が武器なんだから魅力がないっていてるようなもんだって。確かに、紅先生魅力的で・・・」
「わーーーっっ!!」
カカシが大声で叫んで、その場に這いつくばった。
イルカは口をつぐんで、平伏している上忍を見つめた。
「ご、ご、ごめんなさい!!ごめんなさいいっっ!!」
額当てを瓦に擦りつける。
「俺が悪かったです。もう二度といたしません。だから許してください〜。イルカ先生も、お願いだからそんなことしないで〜」
えーん、えーんと手放しで泣かれて、イルカはふうっとため息をついた。
そのため息にもカカシはビクッと反応する。
「こんなとこで騒ぐと近所迷惑なんで、部屋へ入ってもらえます?」
え!?とカカシは涙でぐちゃぐちゃの顔を上げた。
「・・・いいの・・・?入っても・・・」
二度と来るな、をそう律儀に守られても・・・。
「いいですよ。アンタも任務帰りで疲れてるでしょ?」
「はい!はい。めちゃくちゃ疲れてます!」
凄く元気にカカシは答えた。
部屋へ上がる前に、カカシに抱き上げられ、そのままベッドへ運ばれた。
「ちょっとアンタ!疲れてるんでしょ!?」
服を剥きにかかるカカシの頭をぽかぽか叩くが、一向に止まらない。
「だって、イルカ先生。髭と紅の匂いがついてるんだもん。早く俺の匂いつけないと。俺だけのものなんだから」
誰が、アンタのもんだ!
「アンタね・・・!」
「俺にもイルカ先生の匂い付けてよ。イルカ先生のものなんだから」
そう言って、ぐりぐりと肌蹴た胸元に顔を擦り付けられては、文句が言えなくなってしまう。・・・まったくこの男は、ずるい。
大人しくなったイルカをぎゅと抱き締めて口付けてきた。
「・・・誰かが恋人に触るのがこれほど嫌なものとは知らなかった・・・。本当にごめんなさい。許してくれる?」
こんなふうに真摯に謝られては許すしかないじゃないか。
イルカはこの日初めて自分から恋人を抱き寄せた。
「二度目はないですよ」
イルカが言うと、カカシは嬉しそうに笑った。
終わり。
「かっぱの沼」夏葉様より頂いて来ました♥
もうひとつのお話の、続編に当たるものです。
こちらも裏仕様のおまけがありますが、以下同文。
カカイルであること大前提なら、ヘタレカカシも好物です♪
強気イルカも、受であるなら大好物。
だから夏葉様のお話は、いつもかなりツボなんですよね…♥
ありがとうございました!
'04.11.22up
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