ぜんぶあげるしつこいくらいに慣らしてから押し入ったゾロの中は、喘ぐような呼吸のたびにひくついてはサンジを締め付ける。 ああ、すげェ気持ちイイ。 サンジはうっとりと目を閉じ、己を包み込む媚肉の感触を味わう。ずっとこのままでいたいくらいだ。 「…………おい」 だが、サンジとは違い、快楽だけを感じているわけではないゾロのほうは、そうはいかなかった。さっさと続けろと、踵で腰を打たれる。そんなことをすればダメージはゾロ自身にも返るはずなのだが。 案の定、呻き声が双方から同時に上がった。 涙目で睨みあげるそのまなざしがサンジを煽るのだと、ゾロに自覚はない。 サンジは微笑い、リクエストに応えて腰を揺らした。 「んんッ、」 強かに蹴りつけた脚が、差し伸べられた腕が、ねだるように絡みついてくる。 常はストイックな剣士の、こんな姿を知っているのは、きっとサンジだけ。そう思えば湧き上がる優越感。 だけど。 なァ、 俺たちの関係って、一体ナニ?
ゾロの背を抱きながら、サンジはポケットを探り懐中時計を取り出した。開いて、文字盤を確認する。3、2、1。心の中でカウント。 ゼロを数えたところで、半分飛びかけているゾロの耳に唇を寄せる。 「――よォ、クソ剣士。日付が変わったぜ」 「……ア、……ぁ?」 「Bon Anniversaire――」 耳慣れぬ響きに、ゾロが首を傾げる。熱に潤んだ瞳と、幼げな仕種がアンバランスで、サンジは思わずくすりと笑った。 誕生日だぜ、そう囁いてやれば、その瞳にわずかに正気の色が戻り、「あァ、」と納得して頷いた。 「セックスしながら年取った感想は? そうだ、プレゼントは俺の子種って……ど?」 「アホか。てめェ、中出ししてェだけだろ……ッ」 「あは。バレた」 女じゃあるまいし孕むか、後で始末する身にもなれ、との言葉に合わせて突き上げると、語尾が震え、嬌声を堪えるように息ごと呑んだ。 ギッと睨みつけてくる目も、淫欲に染まっていては常ほどの威力はない。 サンジは目を細め、ぺろりと唇を舐めた。 「何言ってんだ。もちろん事後処理込みでのプレゼントに決まってるだろ」 「ふざけんな。てめェがやりてェだけじゃねェか」 親切めかして言うが、行為中とも思えない冷めた口調で吐き捨てられた。いつもしつこく手伝わせろと言うサンジを知っているだけに、厚意とはとられない。 サンジは口端だけで笑った。 「……ホントに、てめェが女だったらな」 呟いた途端、元々三白眼気味のゾロの目つきがさらに鋭くなった。 先まで硬く勃ち上がっていたゾロ自身も萎え、心なしかサンジを飲み込んでいる内部まで冷めてしまったようにさえ感じる。 あァ、しまった。誤解させた。 本来祝うべき相手を本気でキレさせてどうする、とサンジは思わず漏らした自身の呟きに内心舌打ちした。 「女のほうがイイのは、今さらだろ。間に合わせに使っといて文句言ってんじゃねェ」 「……違ェよ、バカマリモ」 溜め息が漏れる。 間に合わせだなんて。セフレと言われるよりもキツイ。そんなつもりで抱いたことなど、サンジはいちどだってないのに。 普段のサンジの態度では、判れ、察しろと言うほうが無茶かもしれないが、それにしても。 髪に触れようと伸ばした手は、つれなく叩き払われた。 本当に。 お前にとって俺は、それだけの存在なのかよ? サンジは払われ赤くなった手の甲をじっと見つめた。熱を持った己の手、冷えたゾロの手。心の温度差にも似て、それが寂しい。 未だ、ゾロの体内で熱を失わない自身も――。 「てめェが女なら、孕ましてやれんのにって。……思ったんだよ、悪ィか」 「やッ、あう……っ!」 語尾に被せるように思い切り突き上げれば、ゾロの唇が解けて堪えきれない声が上がる。 たちまち熱を取り戻したゾロが、悔しげにサンジを睨む。負かされた、そんなふうに思っているのだろう。 ったく、何でも勝負事みてェに。 だが、これが勝負事なら、サンジは最初から負けている。 それを気付かないのは、ゾロが気付こうとしていないからだ。サンジの、気持ちを。想いを。 「……てめっ――コッ…ク! ぁ――」 「……ゾロ……っ」 縛って、縛られて。心も、身体も、何もかも。 お前になら、ぜんぶやってもいいと思っているのに。
――――END
ゾロたん、ハッピーバースデー!! 全然祝えてないんですけど。何だこれ(死) エロのみの話なので18禁にしましたが、それほどじゃないかな… このゾロたん、どういうひとなんだろうか。 サンジさんのこと好きじゃないのかな(お前が疑問に思うなよ) サンジさんは、できるもんならゾロを孕まして、自分だけのもんにしたいそうです。 そんで、自分も束縛されたいんだそうです。 '08.11.11up
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