と あ る 朝 　 　バカなお話をひとつ。 　 　 「てーづか。随分色っぽい表情だねェ。……ズバリ、昨夜は英二とお楽しみ？」 「………どっか行け」 「酷いなァ、君の馬鹿馬鹿しくも可愛らしい恋愛相談に親切にも応えてあげたこの僕に、そーいうこと言う？」 「うるさい」 「あれれ。何スネてんのさ？　英二、下手だった？　イかせてくれなかったとかー？　ダメじゃん英二、自分だけヨくっちゃあ。折角の僕のアドバイスちゃんと」 「貴様の入れ知恵かぁっ！！」 　ゴン。 「ったぁ……暴力はんたーい！」 「うるさい、この馬鹿者がっ。余計なことを教えるんじゃない！」 「……な〜んだぁ、じゃやっぱちゃんとシテもらったんじゃん。ヨかったんでしょ？　何で怒んの」 「ああああんな、あんなことをさ、されて何が良かったと……！」 「えー、フツーでしょ。てか、キミのことだから得体の知れないモノ使われるより抵抗ないと思ったのになぁ」 「………不二」 「何？」 「あの手錠は何だ」 「ああ、アレ？　ただのオモチャだよ。でもかなりリアルだったでしょ？　嫌がられたら使えって、プレゼントとしてね」 「やはり俺が嫌がると知ってたんじゃないか！！」 「んーでも、嫌じゃなくて、正確には恥ずかしかっただけでショ？」 　手塚ってば、えっち。 「何でだ！！！」 　 「……大体ね、深刻なカオして『菊丸が何もしてくれない』とかカワイラシイ悩みを打ち明けてきたのはキミだよ？　お望みどおりシテもらって、何が不満？」 「してもらったとか言うな。」 「じゃ、『ヤッてもらった』？」 「尚悪い！！　っていうか同じだ！！」 「まぁ、そもそもキミがそーいうノリだから英二も今まで手出しできなかったワケだし」 「ノリって何だ……」 「あのこは単純だからねェ。ホラ、キミが一言『シテ♥』っておねだりすれば一発で」 「おねっ………（絶句）」 「なのにそれをできない手塚のために、僕が正しい性知識でもって英二にアドバイスしてあげてさぁ」 「………………（正しい……正しいのか、アレが……？）」 「大体、キミらはホモのくせに同性同士のえっちを知らなさ過ぎ！！」 「ホっ………えっ……（焦）そ・そんなことを大声で言うな！」 「誰も聞いてないっつーの」 「そっそれに……確かに何もし、してくれないっ、とは言ったが、それは、その……まっまだ一度しかキ、ス…を………」 「はあぁ？」 「わっ」 「…………マジっスか」 「マジだ」 「あらら。そっか、二度目のキスが下のおクチにじゃさすがに……」 「黙れ。もういい。それ以上喋るな。」 「はー……英二もいくら僕に言われたからって、一回しかチュウもしてない相手に、また突っ走ったもんだねェ。あはははは」 「お前が言うな――！！！」 　 　 「あっれー？　不二どしたの？　にゃんか怖いよ？？」 「………キミはずいぶんと幸せそうなバカ面してるねぇ、英二」 「朝練前から溜め息つくなよー。皆もうグラウンド出てるよ、おチビ以外。てかバカ面って何だよ！」 「僕、今日頭痛いから」 「えっ何、風邪？　熱は？　―――っわ！？　不二何コレ、おでこにでっかいタンコブあるよ！？」 「あはははは（乾いた笑い）。もっと上のほうにもういっこあるよ、多分……」 「どっかぶつけたのかぁ？　不二ってば結構ドジ？」 「誰の所為だろねぇ」 「え？　不二でしょ？」 「………………あーあー、そーですよ。お子ちゃまバカップルに要らん好奇心でお節介を焼いたのは確かにこの僕ですよ」 「？　あっ、そうそう。不二、アドバイスあんがとね♥　実はさぁ、昨日ついに！　手塚とえっちしちゃったんだよん♥」 「…………へー」 「もー、何て言うの？　恥ずかしいからイヤ、っつって泣いてるのがもーメチャクチャ可愛くってさぁ。そんで不二の言うとおり手塚のお尻にさ、」 「朝っぱらからそういう濃いお話は聞きたくないんですが」 「聞けよー！　んでねっ、手塚剥いちゃってからうつ伏せにひっくり返して、やっぱ不二が言ってたとおり嫌がって暴れたから、とっとと手錠かけちゃってね」 「てゆーか朝練始まるんじゃなかったんですか」 「全然汚いとか思わなかったよ！　愛だよね〜♥　てかもう、手塚ってばそんなトコまでキレイで可愛くってね！　ちゅうしたら、そこがヒクヒクって」 「…………誰か助けて…………」 　 　人それを、自業自得と言います。 　 　 　 こーいうの、一度やってみたかったんですよね。 うちの不二様は、基本的には手塚が好き。（ま、うちは総受だからね） 黒い黒いと散々な言われようなうちの不二様ですが、 本当に特に『黒い』のって、菊塚の不二様な気が。 まぁ、菊塚初えっち後のエピソードとなるワケなんですが、 不二様の台詞じゃないですが菊が走りすぎ。 …ここだけの話、原稿に詰まってしまってます。 まだ菊が告白してないよ！　やばいよ！ 王子は何とかしましたけどね（そして空振ってますが） ああ……本当にコレ、らぶらぶまで到達できんの……？(T_T)